筋トレ後に筋トレした部位を72時間休ませるという考え方は、筋肉の回復と成長に関する基本的な理論に基づいています。
ここでは、なぜこの72時間という期間が推奨されるのか、その背景や例外、個別の状況に応じたアプローチについて詳しく説明します。
筋肉の回復と超回復のメカニズム
筋力トレーニングは、筋肉に微細な損傷を引き起こし、その修復過程で筋肉が強く、大きく成長します。
この過程は以下のように進行します。
筋損傷
トレーニング中に筋繊維が微細に損傷します。
特に高強度のトレーニングやエキセントリック(筋肉が伸びながら力を発揮する)運動で顕著です。
炎症反応
筋損傷後、体はその部位に炎症反応を起こし、修復プロセスが始まります。
この段階では、筋肉が腫れたり、痛みを感じたりすることがあります(いわゆる筋肉痛、遅発性筋肉痛〈DOMS〉)。
修復と超回復
筋肉は損傷を修復する過程で、元の状態よりも強くなる(これを「超回復」と言います)ことで、次のトレーニングに備えます。
この超回復が最大限に発揮されるのが、トレーニング後約48~72時間後とされています。
72時間の根拠
72時間(3日間)という期間は、一般的な筋肉回復のためのガイドラインとして広く受け入れられています。
この期間は、以下の理由から設定されています。
超回復のタイミング
研究によると、筋肉の修復が完了し、最大限の超回復が起こるのは、トレーニング後48~72時間後です。
このタイミングで再度同じ筋肉を刺激すると、次の成長を促進できます。
筋肉痛の軽減
遅発性筋肉痛(DOMS)が通常48時間以内にピークに達し、その後徐々に軽減します。
72時間の休息期間を取ることで、筋肉痛が和らぎ、次のトレーニングをより快適に行えるようになります。
個別差と調整の必要性
一方で、この72時間ルールはすべての人に当てはまるわけではありません。
以下の要因によって、休息期間を短縮したり延長したりする必要がある場合があります。
トレーニングの強度とボリューム
高強度・高ボリュームのトレーニングした場合、より長い休息が必要になるかもしれません。
逆に、低強度・低ボリュームであれば、48時間ほどで回復することもあります。
個人の回復能力
年齢、性別、トレーニング歴、遺伝的要因、栄養、睡眠、ストレスレベルなどによって、筋肉の回復速度は異なります。
一部のアスリートやトレーニーは、24~48時間で回復できることもありますが、他の人は72時間以上の休息を必要とすることもあります。
部位別の回復
大きな筋群(脚、背中、胸など)は回復に時間がかかる一方で、小さな筋群(腕、肩、ふくらはぎなど)は比較的早く回復する傾向があります。
そのため、部位ごとに異なる休息期間を設けることが推奨されます。
プログラム設計と72時間の休息
トレーニングプログラムを設計する際には、72時間の休息期間を考慮し、同じ部位を週に2〜3回程度鍛えるスケジュールが一般的です。
例えば、以下のようなスケジュールが考えられます。
分割法(Split Routine)
異なる部位を日ごとに分けて鍛える方法。
例として、月曜は胸と肩、火曜は背中と腕、水曜は脚、というように分けることで、各部位が72時間以上の休息を得られます。
フルボディワークアウト
全身を一度に鍛える方法で、週に3回行うのが一般的です。
トレーニング間に休息日を挟むことで、各部位に72時間の休息が確保されます。
72時間ルールの例外
競技者や上級トレーニーでは、特定の部位を短期間で集中的に鍛える必要が生じることがあります。
この場合、72時間の休息期間を守らない場合もありますが、これは慎重に行わなければならず、オーバートレーニングのリスクがあります。
リカバリーのサポート
72時間の休息期間中でも、アクティブリカバリー(軽い有酸素運動やストレッチ、フォームローリングなど)することで、血流を促進し、回復できます。
また、栄養面でもプロテインやアミノ酸、抗炎症食品を摂取することで、筋肉の修復を促進します。
締めくくり
72時間の休息期間は、筋肉の回復と成長を最適化するための一般的なガイドラインです。
ただし、個々の状況やトレーニングプログラムによって、休息期間は柔軟に調整されるべきです。
最適な回復を得るためには、強度、ボリューム、個人差を考慮しつつ、適切なリカバリー戦略を取り入れることが重要です。
以上、筋トレ後は筋トレした部位を72時間休ませた方がいいのか」についてでした。
何か気になった事があれば是非深掘りして下さい。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。